自動車を利用した安全な津波避難方法を考えるというテーマの講義でした。これまでの避難研究は自動車よりも徒歩移動にフォーカスしたものが多い傾向にあり、特に3.11までは避難する人の割合を増加させるために、避難させるインセンティブをどのようにつくるかということに、関心が寄せられていました。しかし3.11では多くの人が避難し、公道での避難経路を中心に混雑が生じたことが問題になったため、自動車での避難研究の重要性が増しているという事情について説明がありました。次に数学的最適化のアプローチをベースに、様々な数学的手法を用いた避難行動のモデル化と、全体最適のモデルを探る研究の解説がありました。全体最適と、個人の最短経路には違いがあるため、いかに目先の利益ではなく全体最適を選択した方が最終的な便益につながることを、市民に理解してもらうためにどうアプローチしていくかという課題を示されました。また、避難所の入口での渋滞問題や、避難弱者を相互扶助で車所有者が救うモデルを構築するかについてのお話で締めくくられました。