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復興人材育成教育

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令和元年度 県民講座 講座13「復興の社会学」

更新日:2019.7.30

日時
7月27日(土)14:45~15:45
担当講師
尚絅学院大学 特任教授 田中 重好 先生
テーマ
「「想定外」を社会学的に考える」
令和元年度 県民講座 講座13「復興の社会学」 令和元年度 県民講座 講座13「復興の社会学」

東日本大震災の後「想定外」という言葉が飛び交ったが、防災対策は本来「想定外」の事態に対して備える対策であるにもかかわらず、なぜ防災対策に「想定外」という事態が起こるのか、そもそも「想定するとは、社会的過程」であり誰が・何を・どう想定してゆくのかが問題となるというお話がなされました。
津波災害での「想定」から対策の立案、実施までのプロセスの解説後、ハザードマップと東日本大震災における津波浸水域の違い、被災想定と実際の被害の比較を見て、想定された地震津波対策は見事に外れたことを再認識しました。
想定地震・津波高、防災計画、ハード・ソフト面での対策、避難の一連の流れがことごとく「想定外」の事態に直面した結果、「想定外の連鎖」が最終的に大規模な災害になり、被災者の数だけでなく分布や属性など津波災害の様相を決定していったことから、ハザードと津波による犠牲者やその特徴との間に「想定外の連鎖」が介在していることに注目すべきとの指摘がありました。
東日本大震災が設計外力を超える大災害であったこと、しかし設計外力を向上させることは社会空間的な変容を導き、潜在的な脆弱性を高め、個人の災害対応能力の低下をもたらすなどの危険性も説明されました。
これまでは既往最大の原則で防災対策が進められてきましたが、東日本大震災はこうした発想法には限界があることを突きつけました。今後の防災では、従来までの防災計画の立案方式や復興計画そのものを見直す必要があるというお話で締めくくられました。