活動報告 活動報告
復興人材育成教育

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令和元年度 県民講座 講座15「復興の思想」

更新日:2019.8.28

日時
8月24日(土) 13:30~14:30
担当講師
東北工業大学 名誉教授 沢田 康次 先生
テーマ
「復興に対して個人ができること」
令和元年度 県民講座 講座15「復興の思想」 令和元年度 県民講座 講座15「復興の思想」

はじめに現在の復興の様子として、雄勝・気仙沼・陸前高田・女川の現在の写真を紹介いただき、震災後8年間の人々の努力を感じることが出来ました。
そして私たち個人ができることとして、震災によって意識せざるを得なくなった

  1. 普段の生活では感じない「人が一番大切にしていること」は“なに”か?
  2. 科学技術は普段の社会に必要だが、便利社会における本来の人間の目的とは“なに”で、“なに”を便利にするのか?

という問題を考えるために、現代社会を知る必要があるのではないかという視点から、日本と西洋文明との歴史へと展開されました。
まず「便利社会をもたらした西洋文明と日本文化は融合したのか?」ということについて西洋文明導入以後の歴史を知るために、戊辰150年間の産業活動・学術活動における日本の変化や、西洋と日本の大切にするものの違いを比較し、自然災害が多い日本と人間災害が頻発していた西洋とでは建築物や宗教などの精神的な違いもあったこと、大きく異なる生き様(よう)の国から、明治維新により西洋科学と西洋文化を水平輸入したことで日本の生き様も西洋化することになったことなどが分かりました。
さらにその時代における歴史の不可解な事実として、孝明天皇の急死、徳川慶喜の無責任ともいえる大政奉還、榎本武揚の行動と矛盾や開陽丸の沈没などを挙げ、非論理的に形成される意志によって責任論を明確にしないことは日本特有の「生き様(よう)」かもしれないとし、明治維新が生み出した近代史の「うねり(急激な西洋化による変容)」と、それを「ばね」とした未来改革のためには歴史の不可解性を明らかにする必要があるというお話がなされました。
また東北地方は、他地域には見られない傑出したリーダーを多数輩出した東北文化の先進性や、東北の独自の生き方として、以前とは異なる文化が入ってきても従来の生き方を頑固に守っているという見解から、東北の生き様を中心とした人間性を持った社会の形成が、日本全体に必要なのではないかというお話で締めくくられました。