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復興人材育成教育

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復興大学現場実習②荒浜・閖上コースを実施しました

更新日:2019.10.18

10月11日(金)に令和元年度復興大学第2回目となる、荒浜・閖上コースでの現場実習を実施し、一般市民や学生を含む33名に参加いただきました。

モデレーター 中島教授

モデレーター 中島教授

今回は、モデレーター 中島 敏 (東北工業大学 ライフデザイン学部 安全安心生活デザイン学科 教授)の案内・説明のもと、仙台市荒浜地区と名取市閖上地区を見学しました。仙台駅出発後バスの中では、中島モデレーターより、荒浜地区は震災前には2,700人程が居住していたが、震災後居住することができなくなり、今後の地域のあり方が課題となっていることを、ご自身の経験をふまえながらお話いただきました。

せんだい3.11メモリアル交流館では、まず1Fの交流スペースにて石川 倫代 交流係係長より、震災当時の詳細な説明を受けました。立体地図を用いたご説明は、海からの距離感や土地の高低差を視覚的にも理解しやすく、仙台市の津波対策として、避難の丘や津波避難タワー・ビルが沿岸部に多数整備されたことも地図上で確認できました。

スライドショーでは、蒲生地区・荒浜地区の思い出の地を、震災前と震災後の現地の様子を振り返りました。

2F展示室では、花淵 みどり 氏より、時系列に並んだパネルとともに震災被害や復旧・復興までの様子をご説明いただき、実体験をふまえたお話で、震災時の状況をより鮮明に感じることができました。

その後、企画展の「貞山掘より愛をこめて~震災から8年後のふるさと~」を解説いただき、当時の風景の写真や映像が流れると、参加者の方からは懐かしむ声が上がっていました。

地下鉄東西線荒井駅に直結している本施設はアクセスも良く、震災を知り・学び、未来へ語り継いでいくための重要な拠点である事を確認できました。

メモリアル交流館 1F

メモリアル交流館 1F

メモリアル交流館 2F

メモリアル交流館 2F

企画展「貞山掘より愛をこめて」

企画展「貞山掘より愛をこめて」

閖上地区到着後、今年4月にオープンした「かわまちてらす閖上」にて、現地見学し、昨年参加した方々からは、新しい閖上地区の姿に驚く声が多く聞かれました。

午後、今年5月にオープンした名取市閖上公民館にて、名取市震災復興部 復興区画整理課 菊地 昌夫 参事(兼)復興推進監より、閖上地区のまちづくりについてお話いただきました。

漁港を中心に壊滅的な被害を受けた閖上地区ですが、現在は5mのかさ上げによる市街地もほぼ完成し、新たな生活基盤が再生しつつあります。

特に「かわまちてらす閖上」は市有地と河川区域を名取市が国土交通省より占用し、(株)かわまちてらす閖上に貸与する形で運営しており、国交省と連携して進める「閖上地区かわまちづくり事業」の区域内を敷地の一部として利用。海抜7.2mの堤防と同じ高さの場所で商業活動を行えるよう占用協議を進めている全国的にも珍しい事例であるということでした。

また、震災伝承館、船着場、管理用通路(散策路)、高水敷整正(多目的広場)等が整備中であり、来年にはより一段と景色・食事・散策などを楽しめる形に完成予定であること、様々な施設の復旧・復興事業が進み、安心で暮らしやすく魅力あるまちに生まれ変わっている様子に、さらなるにぎわい拠点となる期待が持てました。

名取市 菊地氏の解説

名取市 菊地氏の解説

名取市 菊地氏の解説

名取市 菊地氏の解説

最後に荒浜小学校をモデレーターの中島講師とガイドの庄司様の2グループに分かれ、校内を見学しました。海岸から約700m内陸に位置し、震災時は320名が避難し2階まで津波が押し寄せた校舎は、海側の損傷が特に激しく、津波の衝撃が見て取れました。

校舎内に入ると、1階から階段まで土砂・漂流物が流れ込んだ当時の状況や、壁や天井に残る波しぶきの跡が確認でき、震災当日の津波の激しさを感じました。

地震発生から27時間後の避難者全員の救出までを、当時の校長や町内会長へのインタビュー、実際のヘリからの映像を交えまとめられた「3.11 荒浜小学校の27時間」の映像上映のあと、屋上へ上がり、荒浜地区全体を見渡しながら再度中島講師より解説を受けました。

校内展示視察

校内展示視察

屋上にて

屋上にて

今回の現場実習 荒浜・閖上コースは、台風19号の接近により天候が心配されましたが、実習中雨に降られることも無く、無事に終えることができました。

荒浜地区では、災害危険区域条例による建築制限の状況や集団移転による実状、震災遺構となっている荒浜小学校では津波被害の恐ろしさを実感しました。

閖上地区では、現地再建を選択した名取市と住民との苦労、新しいまちづくりについて現場の声を聞く事ができました。

各施設では、参加者から質問が活発に飛び交っていました。現地の生の声を聞くことで、震災によって失われた暮らしと、これからの暮らしについて考えさせられる現場実習となりました。


見学先

せんだい3.11メモリアル交流館
館長 榎戸 由樹 様
交流係係長 石川 倫代 様
花淵 みどり 様

宮城県名取市 震災復興部
部長 三浦 仁 様
次長 小畑 和弥 様

宮城県名取市 復興区画整理課
参事(兼)復興推進監 菊地 昌夫 様

宮城県名取市 復興調整課
企画班 主査 佐藤 拓人 様
総務班 主事 安井 友侑子 様

震災遺構 仙台市立荒浜小学校
ガイド 庄司 様


今回の現場実習の実施にあたりご協力いただきました皆様方へ、改めて感謝申し上げます。