震災時は河北新報社で報道の立場にいらっしゃった武田先生の講義です。「復興大学県民講座」では初めてのご登壇です。
最初に、復興とは何かという問いかけで講義が始まりました。
- インフラが整う、産業が復活する
- 暮らしの基盤が確かなものになる
- 被災地、被災者に笑顔が戻る
- いろんな説明、定義が可能
と様々な事柄があがる中で「出来事をきちんと振り返り総括ができる」ことについて取り上げ、“被災体験の有無に関係なく、あの日の出来事、その後、いまに向き合い、教訓を伝え継げるようになる”ことが1つの復興の姿かと思うと語られました。
震災伝承の意義として、石巻専修大学が取り組んでいる復興ボランティア講座の到達目標を3つ挙げています。
- 震災の教訓を他人に伝えることができるようになる
- 地域の復興に問題意識を持ち、復興に貢献する意欲を持つ
- ボランティア活動に参加し、地域貢献できるようなる
この後河北新報に掲載された写真を時系列にまとめた10分間のスライドショーが受講生に共有されました。これらは「伝承」を考えるため
- 震災は過去の出来事か→新たな災害で上書きされてしまう
- 忘れないのは誰のためか→震災を自分のために捉えなおす
- 被災地・被災者とは何か→「被災地」「被災者」は日常に内在しており、災害前から、既に被災地・被災者の意識を持つ
自分や家族が犠牲にならないために震災をことあるごとに振り返って備え、意識をしてそれを繰り返す。と問いかけられました。
また、実際に伝承をめぐる組織的な動きとして「伝承ロード」「3.11メモリアルネットワーク」も紹介されました。
武田先生のゼミ生の会話のやり取りの中で「震災を伝えるのは誰か」体験しなかった人は伝えられないのか、あるいは伝える資格はないのかという意見があり、これに対し小学校の時に被災した学生からは「被災経験者だから震災を語れる、経験をしてない人は語れないということはない、大事なのはあの出来事をきちんと共有すること、経験の有無にかかわらず、語り合い、伝えあうこと」という答えが返ってきたそうです。ゼミの共通理解として「震災に向き合うことで初めて知ったことが多くある。これを子供たち、次の世代に伝える役目をわたしたちは担っている」ということが再確認されたということです。
講義は「震災伝承と防災啓発の未来は、皆さんこそが築くものです」という呼びかけで締めくくられました。