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復興人材育成教育

復興人材育成教育

令和2年度 県民講座 講座6「復興の社会学」

更新日:2020.08.07

日時
7月4日(土)14:45~15:45
担当講師
東北芸術工科大学 デザイン工学部 コミュニティデザイン学科 講師 矢部 寛明 先生
テーマ
「地域教育の新しい可能性-宮城県気仙沼の取り組みから」

2講座目は東北芸術工科大学の矢部先生からの講義でした。先生が理事長を務められている、気仙沼NPO法人「底上げ」の紹介から始まりました。
気仙沼を取り巻く状況と世界に起こりうる人口減少の推移を元に、これからの社会が劇的に変化していく様子に合わせ、これまでの社会(マニュアルに合わせて正確に作業ができる人の輩出)からこれからの社会(不確実な社会で自分軸を持ち協働し行動できる人の輩出)へと移っていく根拠として、近年変化している上位校の大学入試の方法も合わせて紹介されました。
今の日本の多くの地域は過疎化、少子高齢化、一次産業の後継者不足、地域行事の維持困難、商店街の衰退が起こっており、気仙沼はそれが震災(3.11)で浮き彫りになったと言えます。人口減による課題が露呈し、高校を卒業した7割が転居、そのうち半数以下しか帰郷しないという現状があるこれからの気仙沼はどうしていったらよいのか、子どもたちに問いかけてきたそうです。多くの子どもたちは気仙沼に対する思いやここで何かをやってみようという意識が少ないこともあり(人によって状況は異なります)、「底上げ」の活動プロセスとして、まずは高校生を集めることからスタートしました。そこでは、

  • 気づく(気仙沼を深く知る、ワークショップ・フィールドワークの実施)
  • 愛着(気仙沼が好きになる、問題が見えてくる)
  • 創造(自分も何か取り組みたいと思うようになる)
  • 失敗(うまくいかないことを経験する、地元住民との交流)
  • 課題感(地域に対し当事者意識が芽生える、問題解決能力、イノベーションの必要性)

という順で取り組みを行い、その結果高校生らは
底上げに関わって経験した事(多様性に触れる、受容される、考える機会を得る、仲間と出会う、挑戦する、対話する)から、それによる意識の変化(視野が広がる、自信がつく、自分自身で考える、協力・共感性UP)、そして得るもの(できる感覚、うごく楽しみ、コミュニティ・仲間)の気づきを得、体感・実感など、「自分ごとの取り組みとしての変化」という流れに変わってきたということです。
受講生からは、途中で紹介されたアメリカの心理学者ドナルド・E・スーパーが提唱した「14の労働価値」に対しての反応が多く寄せられておりましたので紹介します。

  1. 能力の活用(自分の能力を発揮できる)
  2. 達成(良い結果が生まれたという実感を持てる)
  3. 美的追求(美しいものを創りだせる)
  4. 愛他性(人の役に立てる)
  5. 自律性(他からの命令や束縛を受けず、自分の力だけでやっていける)
  6. 創造性(新しいものや考えを創りだせる)
  7. 経済的報酬(たくさんのお金を稼ぎ、高水準の生活を送れる)
  8. ライフスタイル(自分の望むような生活を送れる)
  9. 身体的活動(身体を動かす機会を持てる)
  10. 社会的評価(社会に広く仕事の成果を認めてもらえる)
  11. 冒険性、危険性(わくわくするような体験ができる)
  12. 社会的交流性(いろいろな人と接点を持ちながら仕事ができる)
  13. 多様性(多様な活動ができる)
  14. 環境(仕事環境が心地よい)

仕事を選ぶ上で何を優先するかというこの問いは、災害が多い現代だからこそ多くの関心を集めたように思いました。

令和2年度 県民講座 講座6「復興の社会学」 令和2年度 県民講座 講座6「復興の社会学」