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復興人材育成教育

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令和2年度 県民講座 講座11「復興の社会学」

更新日:2020.08.24

日時
8月1日(土)16:00~17:00
担当講師
東北大学 災害科学国際研究所 人間・社会対応研究部門 教授 奥村 誠 先生
テーマ
「災害後の人口の転出入とその特徴」

巨大災害の経験を受けて防災だけではなく減災が注目されている中
ハザード:自然外力の強さ
暴露:人命、資産、土地利用、活動
脆弱性:社会システムの弱さ
回復力:回復の速さ

上記の四つの関係を元に「防災は直接被害の低減」であり「減災は長期的な損失の低減」と位置づけられております。防災だけで進めようとすると、実際に想定してたものと一致していない、1種類だけの災害の備えを高くすればするほど社会的にみて採算が取れないといった部分があり、これらのことから、どんな種類の災害からも社会的回復力を上げるには減災を重視していった方がよいと提案されています。
そして、その回復力の速さを測るためには「人口指標」を利用して回復過程を定量的に把握したいということで、転出・転入人口の統計解析を計算式に当てはめて解説され、東日本大震災前後の人口変化と阪神・淡路大震災の人口変化を紹介されました。
まとめでは、都道府県レベルでいうと

  • 災害は,直接的な自然増減(死亡)よりも大きな社会増減(転出入)をもたらす
  • 巨大な災害を除けば,転出入は災害の影響を埋め合わせる形で,人口を増やす方向で働いてきた
  • 東日本大震災の被災地は,人口流出が続いたが,(福島を除き)震災の影響というより,むしろ震災以前の傾向が変化していないことによる
  • 災害に遭ってから人口を戻そうとするより,災害前から地域の根本的な問題の改善方向を議論しておくことが不可欠

と分析されております。
自然災害多発国の日本は、災害の度合いにより、地域内の社会経済活動が回復できるか停滞してまた人口の減少につながるのか、発生した災害の規模を早期に判定し、広域支援の必要性を見極めることが大事であると締めくくられました。

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