東日本大震災の津波により沢山の家屋が倒壊し、それらは多くの瓦礫となってしまいました。その後のゴミとなってしまった廃棄物はどのくらい時間をかけ、どのように処分していったのか震災直後の様子から今後の展開を解説されました。
東日本大震災により発生した災害廃棄物は地震による大規模津波によって膨大な量となり、各県において1年で排出される一般廃棄物の量と比較すると、岩手県:約377万トン(約8年分)宮城県:約1,060万トン(約13年分)福島県:約177万トン(約2年分)にもなりました。
これらは焼却処理等・再利用・広域処理(県外に依頼)・埋立処分に分けられ処理されますが、各県内における最終処分場の残容量にも限界があります。そのために増設をしようにも、処分場は必要なのはわかるが自分の家の近くはやめて欲しいという意見もあり、今ある埋立処分場などを大切に使うべき事情があります。そういった背景もあり、少しでもゴミを減らしリサイクルをする努力が続き、結果仙台市は3年かけて災害廃棄物のほとんどを処理することが出来ました。終了間際には仙台市内だけではなく遅れていた沿岸部などの災害廃棄物も引き受けることが出来たそうです。
この経験からいろいろな課題が出ましたが、今後の備えも見えてきました。各市町村でも独自の処理計画を作り始めたようですが、まだ全国の市町村の24%でしか作られていません。
廃棄物処理の未来予想としては、平常時の廃棄物処理の延長線上に非常時でも対応できる体制の構築として
- 環境マインドを有した処理・リサイクル事業者の育成
- 廃棄物が必ず発生するという想定で防災計画を構築
- 常日頃からの各自治体間の連携と情報の共有化(有機的なネットワークの構築)
- 常日頃からの分別・リサイクルに対応可能な技術開発の試行
- 資源循環の市場開拓
が挙げられます。
生活が豊かになるにつれ、潜在的に日常の生活から廃棄物になりうる物がストックされているということを意識しなければならない。普段の生活の中で廃棄物処理やリサイクルと向き合っていくことが、いざ災害が起きた時に廃棄物処理に貢献出来るか考えるきっかけになれば、というメッセージで講義は終了いたしました。