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復興人材育成教育

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令和2年度 県民講座 講座15「復興の社会学」

更新日:2020.10.13

日時
9月5日(土) 13:30~14:30
担当講師
尚絅学院大学 特任教授 田中 重好 先生
テーマ
「東日本大震災の復興を考える」

社会学の観点から、復興について以下の2つの視点でお話をされました。

  1. 被災地の地域的特徴である「人口減少」「社会の縮減」を考慮しない復興事業が展開されてしまった。
  2. 災間期での変化の方向性が、その地域の災害復興を支えた。

前半の1.について、復興の三側面である空間、暮らし、産業のうち、空間について解説されました。危険地区の指定は市町村ごとに実態を異にしているため、虫食いの市街地を生み出す危険性がある、集団移転事業については地域の住宅分布や街の形を大きく変えてしまう、区画整理については完了までに非常に費用も時間がかかってしまっているというそれぞれの問題があるということです。
主な住宅再建方法は「移転を伴う再建」か「地盤の嵩上げを基本とした現地での再建」か「移転もしくは現地での再建」ですが、これらによって地域の形が変わってしまい、具体的にはコンパクトな居住構造、街とは反対の地域構造を作り出すこと、危険地区の指定の仕方が虫食いの市街地を生み出す危険性があること。さらに、自力で戸建て住宅を建設し、それがスプロール化してしまいコミュニティの解体につながった地域もあるということ、災害公営住宅の建設で将来だれが住むのか、防災施設の維持管理は可能か、移転先の地域は安全かということ等、いろいろな問題が出てきています。若者を中心に他市町村への流失があり、老人だけが取り残された地域も少なくないということです。
後半の2.については、陸前高田市高田町と大船渡市綾里地区の事例を挙げられ、それぞれの町の災害間の歴史と現状について説明されました。
災害発生後、次の災害までの間に、地域が少しずつ、どう変わっていかなければならないか、どう備えていかなければならないかを見極めることが大切であり、「社会から防災対策、災害復興対策を考える」ことの重要性を強調され講義は終了いたしました。

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