先生は建築学がご専門で、地域に根ざし、地域をつくる建築というものを大切にされており、今回は人間生活の側での「災害」を考え、これまでのくらしのかたち、変容/不変を知ろうとする必要があるという視点から話を始められました。
現在の復興過程を知る意味で三陸地方の原風景として三陸地方の町の震災直後や最近の様子を紹介後、東北地方の著名な人物伝から広大な三陸地方の建築と民俗学のつながりを解説され、東北の民家は端的にいうと「素」なくらしのかたちであると述べられました。
陸前地方の天然スレート建築の歴史について、
1880-1900硯の原材料となる粘板岩採掘の始まりから、その後の災害史と絡めて解説され、現在では生業対応や不燃化のための屋根替えもあり広く分布されているということでした。
仙台では多くの建築遺産を災害ではなく人間判断で失っていると述べられ、有形の事物が変わるか変わらないか、それに伴う中身の無形の事物が変わるか変わらないかを整理し組み立てて行くことが、生活から見た本来の復興であると説明されました。
最後に、
復:地域に取って不変な要素を必要とする
興:地域が再生するための変化を必要とする
という言葉で「復興」を表され1講座目は終了いたしました。
令和2年度 県民講座 講座17「復興の生活構築学」
更新日:2020.10.13
- 日時
- 9月19日(土) 13:30~14:30
- 担当講師
- 東北工業大学 ライフデザイン学部 生活デザイン学科 教授 大沼 正寬 先生
- テーマ
- 「三陸地方のくらしのかたち−変わるものと変わらないもの−」