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復興人材育成教育

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令和2年度 県民講座 講座28「復興の政治学」

更新日:2020.11.09

日時
10月31日(土)13:30~14:30
担当講師
東北学院大学 法学部 法律学科 教授 井上 義比古 先生
テーマ
「緊急事態対策および復興政策の背景に存在する根本的な考え方」

私達の思考・行動の根本には様々なイデオロギーの存在があるという考え方に基づき、様々な復興政策にも、その影響は及んでいるという内容についての講義でした。
講義では、まずイデオロギーについての導入として、様々な事例、凡例の紹介がありました。
イデオロギーとは、そもそも何を指すか、という視点から、日常生活に内在するする考え方、行動規範もその多く(おそらく文化や宗教的側面なども含め)が、イデオロギーにより判断されることが多く、一定の役割を果たしているという事です。
つまり、あまりにも日常生活の中でその存在(イデオロギー)が根底にある事実がありながら、逆に(それゆえ)私達が何かを決定判断する際に、イデオロギーが意識されることは少ない。無意識の行動につながっているという事です。

また、ある種の制度や政策反映についても背景にイデオロギー関係していることが多いが、イデオロギーの議論が取り上げられることは少ないというものです。それだけ多くの場面に実はイデオロギーの影響があるという解説でした。
イデオロギー自体が正しい、や間違い、というものではないが、生活の中で文化や教育によりある種のイデオロギーを正しさ、あるいはその逆として認識判断する行動を私達が行っているということでした。

最後に、イデオロギーが果たす役割から、災害からの復興政策とイデオロギーという視点を見ていきました。「営み」再建としての復興政策、「創造的復興」としての復興政策、 被害リスク低減意識の政治的意味、復興政策を統制する諸基準、東北というポジションと復興政策という切り口で、イデオロギーとの関連性を考えました。
「営み」の再建という視点ではあくまでも復興≒復旧ではない側面が目立ち、元の生活を取り戻したいという思い、地域共同体の維持などの側面から保守主義的イデオロギーの反映でもあるという指摘がありました。
また、行政判断に基づく復興政策の方向性が県によって異なる点を事例にあげ、リーダーの思想や理想が「創造的復興」という政策面に影響を与えたのではないか、という解釈、また県により復興公営住宅建築にも地域特性が反映される事例もあり、方向性を決定する人々の持つイデオロギーが政策面に及ぼす影響を示唆しています。
多くの復興政策の事例の中に住民意識の側、また行政的判断の側において、イデオロギーの反映が影響を与えているというものです。
地域や特定の人々にとって本当に必要な復興政策がとられているかという視点においては疑問も多く、経済原則が主要なイデオロギーとして作用している指摘もありました。
日常生活の中でイデオロギーを意識する機会は少ないですが、私達の日常においても大きな作用として存在していることを学ぶことができました。

令和2年度 県民講座 講座28「復興の政治学」