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復興人材育成教育

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令和2年度 県民講座 講座30「復興の思想」

更新日:2020.11.09

日時
10月31日(土)16:00~17:00
担当講師
東北大学 災害科学国際研究所
人間・社会対応研究部門 災害認知科学研究分野 教授 邑本 俊亮 先生
テーマ
「将来へ備える~私たち一人一人ができること~」

今後起こりうる災害に対し、私たち一人一人ができることとして、「知ること・育むこと・忘れないこと」を挙げ、一つずつ解説されました。

知識の重要性として、情報を受け取る際に受け手の知識や経験によって差が出てしまう事から、「経験」や「確かな知識」が必要であると述べられました。
その上で、知識はただ持っていれば良いというわけではなく、必要な時に知識を活性化できることが重要であることも示され、前講で取り上げたような人間の認知特性を知っている事で、バイアスに惑わされない災害時の適切な判断・行動ができるということでした。

被災者78人から被災体験とそれを乗り越えた力について聞き取り調査を行い、それを基に作成した質問紙調査約1400人分の回答からは、8つの生きる力が抽出されました。
それは「人をまとめる力」「問題に対応する力」「人を思いやる力」「信念を貫く力」「きちんと生活する力」「気持ちを整える力」「人生を意味づける力」「生活を充実させる力」の8項目で、受講生も実際に質問用紙に記入し、各自自分の生きる力を確認しました。
また、人間の記憶は同じ場所で思い出しやすいという実験結果を踏まえ、身体で覚える防災訓練の重要性も強調されました。

最後に震災を忘れないためには、人間の記憶は時間と共に薄れてしまう事を理解し、何度も思い出す事が必要であると述べられ、東日本大震災で被災した閖上中学校の写真を紹介されました。
その中の、慰霊碑の隣に置かれた学習机に残されたメッセージ
「あの日大勢の人達が津波から逃れる為、この閖中を目指して走りました。街の復興はとても大切なことです。でも沢山の人達の命が今もここにある事を忘れないでほしい。死んだら終わりですか?生き残った私達に出来る事を考えます。」
このメッセージが薄れては何度もペンで上書きされているのと同じように、私達も震災を忘れないよう何度も思い返し語り継いでいくことが、私たち一人一人にできることでありますと締めくくられ講義は終了いたしました。

参考資料:
「災害 生きる力 質問用紙」で検索
http://irides.tohoku.ac.jp/media/files/archive/EightPersonalCharacteristicsScale_tohoku_univ.pdf

参考図書:
「心理学の神話をめぐって―信じる心と見ぬく心」邑本 俊亮・池田まさみ(編)誠信書房

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