活動報告 活動報告
復興人材育成教育

復興人材育成教育

令和2年度 県民講座 講座27「復興の政治学」

更新日:2020.11.12

日時
10月17日(土)14:45~15:45
担当講師
東北学院大学 教養学部 地域構想学科 教授 和田 正春 先生
テーマ
「震災で啓かれた力とそれを育てる新しい社会の器」

経営学やマネジメントをご専門とする先生が、学生の社会参画活動に関わってきた経験から、震災を一つの事象として「どう捉え、これからを考えるか?」という視点でお話されました。

はじめに日本のGDPの推移図を背景に、社会システムは高度経済成長期の社会状況・構造のなか創造期を経て、バブル崩壊後の経済成長の停滞や少子高齢化といった社会問題が変革されないまま、のちに失われた20年と言われるような状況を招き、そして現在まで至る最中に震災を経験する事となったと解説されました。

「震災は社会にとって何だったのか?」という問いに対し、社会の構造変化の中で見直しが必須だったものの判別を迫るものであったと示されました。
その判別の対象は政治体制・行政の仕組み、伝統的価値観、古い時代の構造物・システムなど様々であったが、それらに対し変革を促す機会として震災を捉え、議論や変革を進めるべきであった、しかし実際にはそうした議論が積極的に行われる事無く、震災を機として舵を切るタイミングを逃した、と評価されました。

学生との活動の経験から、変革意識を持つ学生たちが抱いた諦念の原因のひとつとして、ボランティアに関わる学生に突き付けられたのは、変わらない社会システムの中に残る「ボランティア=無償の奉仕、自己犠牲」という倫理的共生(矯正)でした。
これに対し先生は、社会活動・市民活動において重視されるべきは、課題解決に対して実践する責任感、成果思考、継続性であるべきだと述べられました。

そうした中でもこの社会を何とかしなければいけないと自ら積極的に提起し、実現に取り組む人々の新しい動き(NGO、SDGs、コミュニティ・ビジネス、創発型の市民活動など)を紹介され、こうした「新しい力に対して我々はどう向き合うか?」という問いには、理念を示し話し合う事、新しい力に機会を与え成果を評価する事が大切であると述べられ、それが新しい社会の器であるべきだと締めくくられました。

令和2年度 県民講座 講座27「復興の政治学」 令和2年度 県民講座 講座27「復興の政治学」