12月22日(日)に、企業視察研修会を行いました。
この事業は、復興大学 企業支援ワンストップサービス事業の一環として、地域振興を担っている企業の取り組みを学ぶために企画しました。今回は、地域に貢献している多くの企業の中から、地域資源を活かした6次化や地域一貫生産に取り組んでいる「農業生産法人 有限会社伊豆沼農産」「株式会社木の屋石巻水産」に訪問しました。
伊豆沼農産では、資料やスライドを基に、会社で手掛けている商品や自社製品・資源を利用しての食育活動、6次化の活動について伺いました。特に力を入れている点は地域の資源の掘り起こし、知恵や技術の継承、そして、地域持続可能な存続を目指した「農村の産業化」に向けた取り組みです。宿泊・教育・他地域(沿岸部)との連携によるツーリズムの開発など、広く地域の環境を意識した取組みについて説明いただきました。
中でも地域資源の再発見活動については、食の文化祭を行うなどの努力を重ね、地域住民との協働による地域振興に力を注いでいるとのことです。持続可能な農村産業という視点を持ち、広い視野での活躍が企業の高い評価につながっていることを知る機会となりました。また力を入れている赤豚の生産についても、きめ細かい努力と品質の管理によって、高い評価を得ていることが分かりました。
昼食では、実際に伊豆沼農産で飼育している「赤豚」を使用したランチをいただき、手掛けているものの質の高さを確認し、また直売所でも、地域の台所としての機能を果たしていることがわかりました。
伊豆沼農産でのレクチャーの様子
直売所
続いて伺った木の屋石巻水産は古くから、クジラの大和煮の缶詰で知られた企業です。
石巻市より移転し再建した美里町の工場施設を見学。見学前夜に金華サバの水揚げもあり、当日は工場が稼働しているという幸運にも恵まれ、実際に缶詰製造の現場を見学することがかないました。
製造までのプロセス、とくに生での加工にこだわっている点や、生産ラインでの厳重な缶詰行程のチェックなどをレクチャーいただきました。水揚げは土日もあるため、従業員は手分けして、作業にあたっているとのお話でした。美里町工場の存在は多くの地域住民の雇用にもつながっており、地元一貫生産体制を支える力となっているとのお話です。
木の屋石巻水産さんは、本社工場がある石巻で大木な被災を受けました。工場は全壊、缶詰の流出は10万個ともいわれており、大変な状況から、缶詰を拾い集め「希望の缶詰」として、震災後に広く石巻の名と共に、取り上げられた経緯がありました。ボランティアや顧客の思いから東京での販売協力や、SNSでの取り上げが話題となりました。
しかし、希望の缶詰だけに頼っていてはいけないという思いから自社缶詰の生産ラインを止めないため、OEMにて対応、震災後も、販路を失わないための大変な努力があったことを知りました。
そのような中、現在は主力商品でもある鯖缶の人気も後押しになってはいますが、今後も地域産業の底上げや人材確保には大きな課題があるとのお話でした。併せて、漁業資源の激減から昨今では漁獲量が多きく低下、鯖の水揚げも厳しい状況が続き、今後の未来の資源確保、持続可能な産業とは何か、という視点で、様々な試行錯誤を行っているということです。
資源の課題は、一次産業のみならず、我々の食生活にも大きな影響を与えることから、資源確保や人材の確保についても大きな課題というお話をいただきました。
最後に、鯨の大和煮、金華サバの味噌煮の缶詰も試食し、高品質な製品を味わうことができました。
参加学生を含め、今後の地域課題について、多くの学びの機会となりました。
両社とも、商品や取組み内容に参加者は強く興味をひかれていました。復興大学としても、これからも地域に根差しながら発展していこうという企業に対して、どのように関わっていくべきかを考える機会となりました。
缶詰製造ラインのレクチャーの様子
木の屋さんの震災後の歩みと現状課題についてのレクチャー
試食製品